
宮部元治(もと)プロフィール|ユウギボウシ愛媛 代表
四国最西端、佐田岬半島の名取という集落で柑橘を育てています。
農薬も除草剤も、そして化学肥料や有機肥料さえも使わず、草や虫、微生物の力を活かして自然本来の循環に沿った栽培を行っています。
この農法は、ただ「安全な作物をつくる」ことが目的ではありません。
自然と人がともに健やかに生きるための、エシカルな営みでもあります。
園地に生える草を有効活用し、剪定した枝は炭にして土に返すことで土を元気にし、摘果した青い実も無駄にせず、加工品として新たな価値を持たせています。
資源を余すことなく活かすこと――それが、私の農の根幹です。
最近では、剪定枝から和紙を漉き、書やアートを通じて「自然との共生」の世界観を表現する活動も始めました。また、柑橘の葉や小枝を使った染物も試作中です。
この農法で育てられた柑橘と日本の伝統工芸とを融合させた新しい商品開発も次々と行っています。
今、尾道・猫の細道にアンテナショップを開設するための準備をしています。当園の新鮮な果実や加工品と想いを、訪れる多くの方に届けていけたら幸いです。
そして私は、「農」を通して人と人、人と地域をつなぐことも大切にしています。
柑橘の木のオーナー制度では、都市に暮らす方々と畑を直接つなぎ、農の現場を一緒に感じてもらえる仕組みをつくりました。
また、NPO法人「はなもりびと」では、名取という地域そのものを未来へつなぐため、ブロックチェーン技術を活用した「クリプト集落NATORIプロジェクト」など、持続可能な地域づくりに挑戦しています。
農とアート、テクノロジーと伝統、そして人と自然をやさしくつなぐこと。
それが、私がこの土地で果たしたい役割です。
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